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27話 揺らぐ決意と新たな約束

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-08-14 07:00:53

「そりゃ……普通、言わないんじゃない? アリアちゃんから聞いた? “私、掃除できるよ”とか、“洗濯できるよ”って」

 ユウヤが少し疑うような口調で問いかけると、シャルは呆れたように肩をすくめた。

(……そりゃ、そうか。いちいち「私、家事できるよ!」とか「料理得意なんだー!」って言ってくる子の方が、ちょっと引くよな……)

 ユウヤは、シャルの言葉に妙に納得してしまった。

「……そっか。いちいち言わないかぁ」

 シャルは、どこか気まずそうに視線を逸らしながらも、真剣な眼差しをこちらに向けていた。

 その姿を見ていると、ユウヤの中にあった「突き放すつもりだった」という決意が、少しずつ揺らいでいくのを感じた。

(……必死すぎる。なんか、かわいそうになってきたな……)

 シャルの目は、ただの意地やプライドじゃない。何かを取り戻したいという、真っ直ぐな気持ちが宿っていた。

(……どうしよう)

 ユウヤは、心の中で静かに問いかけていた。突き放すべきか、それとも――もう一度、信じてみるべきか。

「じゃあ……約束するなら、いいけど……?」

 ユウヤは少し考え込んだあと、慎重に条件を口にした。シャルは身を乗り出すようにして、真剣な目で問い返す。

「何を?」

「アリアと俺の邪魔をするなよ? それと、俺かアリアが“ダメ”って言ったら、ちゃんと従え。前みたいに“魔物の観察に行きたい”とか“討伐に行きたい”って言っても、止められたら素直に聞くこと。いいな?」

 ユウヤの声は、あくまで冷静だったが、その裏には「信じたいけど、もう裏切られたくない」という思いがにじんでいた。

(この約束を守ってくれるなら……まあ、いいかな。守れるかは正直心配だけど……今のシャルは、前よりずっと大人しくなってるし、大丈夫かもな)

「……うん。わかった。従うよ。でも……意見は言ってもいいんでしょ? それもダメ……?」

 シャルは少し不満そうに眉を寄せながらも、ユウヤの条件に頷いた。

(ああ……やっぱり意見は言うつもりなんだな。まあ、シャルだしな。変なこと言わなきゃいいけど……)

「意見は言ってもいい。でも、余計なことは言うなよ。俺とアリアが仲良くしてるのを邪魔するようなこととか、そういうのは絶対にナシだ」

 ユウヤは、釘を刺すようにきっぱりと言った。

「うん……。じゃあ、私とは……前みたいな感じは? 友達みたいな感じなら、いいでしょ?」

 シャルは、少し遠慮がちに尋ねた。その声には、かつてのような強引さはなく、ただ静かに“居場所”を求める響きがあった。

(……友達みたいな感じなら、まあいいか。あ、そうだ。ミーシャのことも伝えておかないとな。獣人差別とか、まさかしないよな……?)

 ユウヤは、ふと頭の中で次の懸念を思い浮かべた。シャルの性格を知っているからこそ、慎重に進める必要がある。

「それと……獣人の女の子もいるんだけど……」

 ユウヤが少し様子をうかがうように告げると、シャルの目がぱっと輝いた。

「ホント? どんな子?」

「ネコ耳の女の子」

「わぁ〜! そんな子と一緒にいるんだぁ……いいなぁ……」

 その反応に、ユウヤは思わず眉をひそめた。

(……なにこれ。従順すぎる。昔のシャルじゃないみたいだ。前はもっと男勝りで、ズバズバ言ってたのに……)

 シャルの変化に、ユウヤは戸惑いを隠せなかった。

♢帰宅、そして再会

 その後、両親に「しばらく帰れない」と伝えたあと、シャルと一緒に服屋に立ち寄り、ミーシャ用の服を数着購入して帰宅した。

「ただいまぁ〜」

 玄関の扉を開けて声をかけると、アリアがぱっと顔を上げ、シャルの姿を見て驚いたように目を見開いた。一方、ミーシャは警戒心をあらわにし、物陰にさっと隠れてしまった。

「シャルちゃん……久しぶりだね」

 アリアは少し戸惑いながらも、落ち着いた声で挨拶をした。

「アリアちゃん、私も……ユウくんと同じパーティに入れてくれないかなぁ……?」

 シャルは、まっすぐにアリアを見つめながら、はっきりと願い出た。

 アリアは一瞬だけユウヤの方を見たが、すぐに微笑んで頷いた。

「シャルちゃんなら、いいよ。ユウくんの元々のパーティメンバーでしょ?」

 小さな村では、誰が誰と仲が良いか、どのパーティを組んでいるかはすぐに噂になる。アリアも、ユウヤとシャルの過去を知っていたからこそ、すんなりと受け入れたのだった。

「勝手に連れてきて……本当にごめんね」

 ユウヤが静かに謝ると、シャルは少し俯きながら、ぽつりぽつりと話し始めた。

「あのね……私、死にそうになっちゃって……。それから、冒険者を続けるのが怖くなっちゃって……魔物や魔獣の討伐に行けなくなってたの」

 その声はかすかに震えていて、どこか自分を責めているようだった。

「そうだったんだ……」

 アリアは、シャルの告白に驚きながらも、優しく頷いた。その表情には、責める気配は一切なく、ただ静かに寄り添うような同情がにじんでいた。

 ユウヤは、シャルを連れて村長のもとへ向かった。元々3人でパーティを組んでいたこと、そしてシャルが休んでいた理由が事実であることを丁寧に説明した。

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